悩みを解決する書評

ダイバーシティーを理解する!リアルな視点で多様性を学ぼう

ダイバーシティという言葉、しばらく前から耳にすることが増えてきましたね。

 

実際に、職場などでもダイバーシティというワードが議題になったり、

学校などでもダイバーシティ(多様性)について教わる機会が

増えてきたのではないでしょうか。

 

日本語で「多様性」という意味になる、この言葉

人種差別や性差別、国籍など、

さまざまな多様性についての議論がされるようになってきました。

 

 

今回、このダイバーシティ(多様性)という言葉の意味を深く理解するのに、

是非ともオススメの書籍がありますので紹介いたしますっ!

 

それが、、

出版:新潮社

著者:ブレイディみかこ

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

です♪

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー [ ブレイディ みかこ ]

価格:1,485円
(2021/8/20 06:24時点)
感想(66件)

この本を読めば、実体験を踏まえたリアルなストーリーによって、

以下のようなことについて理解を深めることが出来ます。

・国籍や人種差別

・貧困と富裕層の格差(いじめの発端とは?)

・性差別やLGBT(「たんたんタンゴはパパふたり」って知ってる?)

・ダイバーシティ(多様性)の強み

そして、本書を読み解くことで、

ダイバーシティを促進するためのヒント

が見えてきます

 

それでは本書の紹介をしてきましょう!

 

・本書の紹介

アイルランドの父、著者である日本人の母を持つ、二人の子どもである”息子”の

ただでさえ、人種、文化、階級など、様々な多様さが入り混じり

そこにブレグジット(Brexit)という大きな問題に揺れるイギリスでの

中学校生活の1年半を描いた内容です。

 

父親家系が熱心なカトリックだから、、という理由で、

何となくカトリックの小学校に通っていた”息子”。

 

そこは、裕福な家庭の子どもが多く通う、

森の中に建てられたこぢんまりとした、牧歌的で平和な小学校でした。

 

そんな彼が中学校として選んだのは、

市のランキング1位のエリート校であるカトリック系ではなく、

なんと「元底辺中学校」と揶揄される近所の中学校!

 

これまでのピーター・ラビットが出てきそうな上品なミドルクラスの学校ではなく、

代わりに、

眉毛のないコワモテ兄ちゃんや、

場末のバーのママみたいなケバい姉ちゃんもいる、

いじめも人種差別もケンカもある、

殺伐とした英国社会を反映するリアルな学校、、

 

小学校では生徒会長まで務めた、いわゆる「いい子」だった”息子”

そんな彼が「元底辺中学校」で遭遇する様々なリアル

 

そんな実体験に基づくストーリーが、

音楽ライター上がりのロックさをうかがわす著者であり母親の、

シニカルさも交えたウィットに富んだ表現で本書に書かれています。

 

それを読み進めていくことで、

ブレグジットがどうとか、EUがどうとか、

そんないわゆる大きな話題のはるか下、

複雑に絡み積み重なる真の多様性の存在を、

まるで追体験するかのように感じることが出来ます!

 

・国籍や人種差別

先ほどの通り、父はアイルランド人、母は日本人

そして舞台はイギリス、ということですから、

本書内では、多くの人種差別的な発言やシーンが多く登場します。

 

中学に入学して早々、

1年生(イギリスでは7年生と言うそうです)で行われたミュージカル「アラジン」

 

”息子”はランプの精であるジーニーを演じ、

主役であるアラジンはダニエルというすらりとした美少年が主演する

しかし、このダニエルの差別発言がなかなかにひどく

これでもかっ! と人種差別発言が飛び出してきます。

 

そんなダニエルだが、講演本番の数日前になって

変声期に入ってしまったことによって高い声が出せない事態に。

そんな状態を受けて、

”息子”がダニエルの代わりに舞台袖で歌うから彼は口パクでどうか?

という提案

 

これに対するダニエルの答えは、

「そんな春巻きをのどに詰まらせたような東洋人の声で歌われるのは嫌だ」

というコテコテの人種差別発言、、

 

この流れには思わず読んでるこちらも閉口してしまいました。

 

・貧困と富裕層の格差(いじめの発端とは?)

イギリスの公立校にはフリー・ミール制度というものがあって、

生活保護や失業保険など、

政府からの各種補助制度などを受けている低所得者家庭は、

給食費が無料となっているそうです。

ただし、”息子”の通う中学校は学食制度になっており、

プリペイド方式で保護者の口座から引き落とされるシステムになっているため、

低所得者家庭の子には使用の上限度額が設定されます。

 

”息子”には、いわゆる下層階級の同級生がいて、

その子のお兄ちゃんが、

フリー・ミール制度の上限額にいかないように

たびたび万引きをする、ということをしてしまい、

それをきっかけにいじめが始まる、という話が出てきます。

 

最初は、

「万引きは犯罪行為だ!」とか

「お前の窃盗壁は病気だ!」などとなじられることからスタートし、

次第に、

「この万引き野郎!」

犯罪者は制裁されて当然だっ!」と語気が強まり、

フィジカルなものへとエスカレートしていきます。

 

そんなある日、”息子”の友達が万引きをしているところを他の同級生たちに見つかます。

最初は「あんなことはしちゃいけない!」と正義の味方よろしく諭していた同級生ですが、

そのうち、「犯罪者!」と法の番人さながら彼を見下し始め、

しまいには、「貧乏人!」とか

低所得者層の住人は社会のくずだ!」と、

口々にののしり始め、彼を囲んで暴力をふるいだしたのです。

 

たまたま通りがかったコワモテのお兄さんによって、

この場が事なきを得たのですが、、

「自分たちが正しいと集団で思い込むと、人間はクレイジーになるからね」

というセリフに、いじめの縮図を見たような気がします。

 

・性差別やLGBT(「たんたんタンゴはパパふたり」って知ってる?)

日本ではLGBTという言葉で次第に認知度が高まってきていますが、

ことイギリスでは、LGBTQQuestioning:クエスチョニング)と教わるそうで、

自分のジェンダーを決め切れられない、迷っている、という分類として、

Questioningを含んで教わるそうです。

 

ちなみにこの話の項目で、

たんたんタンゴはパパふたり」という絵本が登場します。

この絵本は、

はらぺこあおむし」、「かいじゅうたちのいるところ」とならぶ、

イギリス保育業界でもバイブルと言われるような絵本だそうです。

 

ニューヨークのセントラルパーク動物園での実話に基づいた内容で、

恋に落ちた二羽のオスのペンギンのお話です。

 

ペンギンたちが子どもを作る季節がやって来て、

卵を産み、温めているのを見た二羽のオスペンギンたちが、

卵に似た石を拾ってきて温め始めたのです。

 

そのことに気づいた飼育係が、

別のカップルが放置した卵を二羽のオスペンギンの巣に置きました。

 

するとカップルのオスペンギンは交代で卵を温め始め、

やがてペンギンの赤ちゃんが誕生します。

 

ふたりのオスペンギンはパパとなり、

赤ちゃんはタンゴと命名される、

というお話です。

 

自分も子育てを経験する中、いろいろな絵本を読んだと思ったんですが、

はらぺこあおむし」、「かいじゅうたちのいるところ」、の2冊は

ホントにいろんなところで見かける機会がありました。

 

ですが、この「たんたんタンゴはパパふたり

という絵本のことは知らなかったですね。

 

小さなころから多様性について考えさせるきっかけというものが、

日本ではまだなじめない(なじませることが出来ない)のかも、、

と思いましたね。

 

・ダイバーシティ(多様性)の強み

2018年に行われたロシアワールドカップ

”息子”は、当初母親の出身国である、日本の応援に夢中

決勝トーナメント初戦の、対コロンビア戦での劇的な勝利には、

周りの子を巻き込んで「ジャパーン!ジャパーン!!」と大騒ぎしてました。

 

ところが日本が敗退すると、

あっさりイングランド代表チームに乗り換え

(しかもこの時のイングランドは調子が良かった)

 

今度は父親の叔母がロンドンで買ってくれたレプリカユニフォームを着て

声援を送る”息子”くんであった。

 

この、応援するチームが複数ある、、ということなのだが、

これは、こっちがダメならあっちがある、という

オルタナティブ(代替、代わり)の存在を示している、と著者は言っています。

 

寄るところが一つしかない場合は、

こっちがダメなら全滅してしまう、、となってしまう。

 

この考えに、多様性の持つ強さ(たくましさ)を感じましたね。

 

ダイバーシティを促進するためのヒント

それでは最後に、本書を読んで自分が感じた、

ダイバーシティを促進するためのヒント、について説明していきます。

 

上のほうでも触れましたが、

中学入学早々に、新入生による”アラジン”の舞台公演がありました。

 

主役のアラジンを務める少年(ダニエル)は、

コテコテの人種差別発言を連発する相当なクセモノ。

 

そんな彼が舞台公演の際に、変声期を迎えてしまい

声がうまく出なくなるという状況に陥ります。

 

そこを、ダニエル曰く、「春巻きがのどに詰まったような声」の持ち主である

”息子”によって助けられます。

(舞台裏で”息子”が歌を歌い、ダニエルが舞台上でダンス&口パク)

何とかその日の舞台をやり終えたのでした。

 

結局、その後の公演も、”息子”は舞台裏からの歌の代打をやり続け、

主演のダニエルも「明日もよろしく」と涼しい顔でそれを受け入れたのでした。

 

あれだけ”息子”によるサポート毛嫌いしていたダニエルが、

どうして、このように態度を変えたのかが伺える一文として、

”息子”のセリフが出てきます。

この一文が、

ダイバーシティを促進するためのヒント

を表している、と感じましたね。

「二カ月もけいこしてきたのに、

あのシーン(歌の見せ場)が台無しになると

みんなの努力が無駄になる」

つまり

なかなかうまくかみ合わない多様性あるメンバーでも、

ひとつの目標に向かって努力をする(努力をせざるを得ない状況になる)

ことによって、

みんなが良い結果を得ようと考え、これまでの自分たちの努力を実らせるために

互いを尊重し協力しあう気持ちが生まれてくる

ということではないかと僕は思いました。

 

・まとめ

牧歌的で平和な小学校から、殺伐とした英国社会を反映する

リアルな学校「元底辺中学校」に入学した”息子”

 

社会の分断を映したような事件、

差別や格差で複雑化した人間関係、

そんなに多様な壁にぶつかりながらも、

迷ったり、悩んだりしながら、

子どもたちはどんどん新しい何かに遭遇し、

さっさと前に進んでいたりする。

 

そんな”息子”や友人たちの、

中学校生活の最初の1年半が書かれた本書

 

ここで紹介した内容はほんの一部

さらに色濃い様々なダイバーシティを理解するヒントが詰まっています

 

是非とも本書を手に取って一読してみて、

ダイバーシティについて理解を深める一助にしてください!

 

また読書感想文に悩んでいる学生にもオススメの一冊ですよっ

 

それではまたっ

ABOUT ME
コジャパン
会社員生活20年。日々の過ごし方に疑問を感じ、働き方、生き方、考え方を変えて人生を自らの手で切り開いていきたい!と一念発起 オススメ本から有益な情報をピックアップした書評 趣味のゲームであるスプラトゥーンについて編集動画をアップしたYoutubeチャンネルの紹介、攻略記事を書いています

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